株式会社SHISEILABO代表取締役兼CMOの武山です。
マーケティングやブランド戦略の現場で頻繁に使われる「コンセプト」と「テーマ」という言葉。この2つの概念、使い分けると飛躍的に社内が活性化していきます。今回は、この二つを明確に使い分けるための考え方を整理してみました。外部との顧客接点と内部での社内コミュニケーションの視点からコンセプトとテーマについて触れてみたいと思います。
覚えやすいイメージとしてコンセプトの背景には商品、サービス、ブランド、店舗、従業員などの顧客接点があります。一方で、テーマの背景には、プロジェクト、デザイン、開発、テストなどの社内コミュニケーションや社内業務があります。

コンセプトとテーマの違い
(コンセプト)テーマとは?
テーマとは、プロジェクトやデザイン、開発などで具体的な方向性や表現を定める「活動の軸」で社内で使うものとしています。コンセプトをもとに、社内メンバーや関係者が共通認識を持つためのキーワードや方向性を言語化したものをテーマと捉えてみます。
コンセプトとは?
商品・サービス・ブランドの「核となる考え方」や「存在意義」がコンセプトです。市場や顧客に対して「私たちは何を提供し、なぜ存在するのか」を明確にするもので、顧客やユーザーや社外の参加者に向けられたものがコンセプトになります。
コンセプトは顧客にそのまま記憶される必要はありません。商品を紹介した時に、「あー、あのナイジェリアのシアバターを使った保湿力が自慢のハンドクリームね。」と顧客に思ってもらえれば目標達成です。
例えば、食品製造業を営む中小企業が新商品として毎月旬の食材をお届けするサブスクリプションサービス(仮)日本の食卓を企画しています。「毎日の食卓に、手間をかけず本格的な和食を届ける」というコンセプト、「四季を感じる色と香りの演出」というテーマが使い分けのイメージです。

コンセプトの背景と作成ステップ
コンセプト設定の背景には「顧客接点」がある
コンセプト設定の背景には常に『顧客や消費者などの価値を受け取る側の参加者』が存在しています。コンセプトは常に外部=顧客や市場との接点から生まれるものです。
コンセプトの設定目的はあくまでも顧客とつながることです。作成ステップは様々ですが、重要なポイントはコンセプトの設定の背景に顧客コミュニケーションが存在していることを常に意識することです。
例えば次のような3つのステップで大まかなコンセプトが作成できます。
- 顧客が抱える課題やニーズは何か?という価値の起点を問います。
- 次に、競合との差別化ポイントはどこか?自社の独自性や優位性は何か?というポジショニング、自社がどのように覚えられたいかを整理します。
- さらに、ブランドが社会や市場で果たす役割は何か?という社会性を考慮してコンセプトで明文化するためのキーワードを選定します。
SHISEILABOでは、コンセプトを作る際に顧客インタビュー・市場データ分析・ユーザー体験マッピングを行い、「なぜこのサービスが必要とされるのか」を顧客インサイトから定義します。この核がしっかりしていれば、あらゆるマーケティング施策や商品企画のぶれを防ぐことができます。

テーマの背景と作成ステップ
テーマ設定の背景には「社内コミュニケーション」がある
コンセプトを固めたブランドや商品やサービスを企画し、開発する流れの中では、コンセプトでは固すぎる場合があります。社内コミュニケーションでは少しだけ視野を広げるためにコンセプトからテーマを設定し直すことが大切です。テーマ設定の背景には常に『社内プロジェクトチームなどの価値を届ける側の参加者』が存在しています。内部のプロジェクトやチームの動きを整える役割として機能させるイメージです。
テーマ設定は、社内メンバーが同じ方向を向き、日々の判断やアウトプットの一貫性を保つための指針です。
コンセプトはあくまでもブランドや商品と顧客の接点で使います。一方で、テーマは社内のデザインや開発におけるビジュアル・トーンの統一、キャンペーンや施策における共通のストーリーライン、社内外の制作物でのメッセージブレ防止に活用できます。
例えば、コンセプトが「紙を使った環境に優しい、都会暮らしの提案」なら、テーマは様々に設定しても良いです。デザイナー向けには「再生素材を活用したナチュラルデザイン」、経営者向けには「Co2排出量を極限まで抑える商品開発」、プロジェクトテーマとして「再生紙で優しい商品開発」といった具合に、具体的な活動軸を設定します。

まとめ
使い分けのポイント
コンセプトは、顧客と市場に向けた存在意義の核、一方で(コンセプト)テーマは、社内外の制作や進行を支える活動の軸。です。
両者を混同すると、「顧客に刺さらない」または「社内がまとまらない」という状況が起こります。まずはコンセプトを明確にし、その後にテーマを設定する。この順序が、顧客コミュニケーションや戦略と実務をつなぐ鍵となります。
SHISEILABOでは、クライアント企業のブランド構築やプロジェクト推進において、この「コンセプトとテーマの二段構え」を徹底しています。結果として、顧客接点での訴求力と社内進行の効率化を両立させています。