AI時代新しいものさしの創造が価値になる

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株式会社SHISEILABO 代表取締役兼CMOの武山です。社会の仕組みやビジネスの世界は、常に「ものさし=基準」で動いています。

経済の基準はお金、労働の基準は時間、そして評価の基準は成果や実績。AI時代に突入した今、既存のものさしだけでは語れない価値が求められています。

本日は新しい価値基準を生み出すことの重要性を知るきっかけをご案内します。

経済、お金、労働…全てのことには基準がある

経済活動は「お金」という共通のものさしがあります。資本力や企業の評価で用いられるものです。また、労働は「時間」と「生産性」で測られるものです。ビジネスは「売上」や「契約件数」という指標で評価されます。

私たちは常に、目に見えない基準に従って行動しています。

つまり「どんな基準を持つか」で、社会や市場の方向性そのものが決まってしまうのです。

価値を届ける新しいものさしとは?

AI時代における人間の活動で重要なことの一つが『価値を届ける新しいものさしものさしを創造すること』と当社は考えています。

既存の基準を前提にするだけでなく、新しい評価軸=ものさしを創造することに人間の活動に意味をもたらします。

例えば、これまでの環境評価では、温度(温暖化)、CO2削減量、伐採量などが広く使われています。さて、それ以外のものさしを考えてみることはできそうでしょうか?

既存の体験価値のものさしは、顧客満足度、感情の変化など…こちらも色々とアイデアが生み出せそうです。

健康経営などのウェルビーイング指標も新たなものが生まれるかもしれません。

これらは「お金」や「時間」だけでは測れない価値を表すものさしです。AIが「計算」と「分析」から「予測する」ことに特化した現代では、新たな価値基準を提示できる企業こそが、顧客に新しい価値を届ける存在になります。

新しいものさしの例 〜オーストラリアの鶏と卵〜

オーストラリアのHonest Eggs Co.とVMLY&Rは、鶏向けに設計された初のフィットネストラッカー「FitChix」を発売しました。卵を産む鶏の歩数を測る仕組みとアイデアで、ケージフリーであることを数値的に示した新しいものさしの事例です。

このイノベーションに伴い、Honest Eggs Co.の鶏がどれだけ自由で健康なのかを人々に示すための統合キャンペーンが展開されています。

一般的に、オーガニックと評される卵のパッケージには「鶏がどんな環境で育ったか」が基準として表示されています。ケージ飼いか?放し飼いか?オーガニック認証か?…しかし、一部の業者ではこれらの曖昧な基準に対して、曖昧な表現方法を用いています。

この事例では卵の「価格」や「栄養価」だけでなく、鶏の生活環境という新しいものさしが消費者の購買基準になっています。

これは「企業が新しいものさしを提示することで、顧客の選択行動を変える」好例です。

クリエイティブ思考で考える新しいものさし

新しいものさしを創るには、当社のようなブランディングを専門にする会社やプロジェクトマネジメントやクリエイティブ思考が欠かせません。

「今まで測れなかったものを数値化できないか?」

「顧客が心の中で大切にしているが、可視化されていない価値は何か?」

「不満や違和感をポジティブな基準に変換できないか?」

AIは膨大なデータを処理できますが、新しい基準を定義するのは人間の発想力です。

当社の考え

データ利用の拡大が商業広告を駆逐する

当社、株式会社シセイラボでは、マーケティングにおける重心を「予算を投じた認知や配荷率の獲得」「広告依存」ではなく、「データ活用」に置いています。

従来は、大量の広告配信によって購買行動を刺激することが企業の認知率と経済活動を支える基盤となっていましたが、これからのマーケティングではより一層、顧客データを分析し、その人にとって意味のある基準(ものさし)を提示することが求められます。

例えば「あなたのライフスタイルに合う消費基準はこれです」と企業が示せば、顧客は広告ではなく自分に合った基準で選択するようになります。結果として、商業広告は徐々に存在感を失い、データが生み出す新しいものさしこそが最大のマーケティング資源になるのです。

まとめ

新しいものさしのイメージが共有できたでしょうか?新しいものさしを生み出せるかどうかが人間の本質的な価値基準になりそうです。AI時代の本当の競争力とは、新しいものさしを提示し、顧客に新しい価値基準を届けることにあるのです。

  • 経済や労働など、社会はすべて「ものさし=基準」で動いている
  • AI時代には、新しいものさしを創る企業が価値を生み出す
  • オーストラリアの卵のように、既存基準を超えた選択軸が消費を変える
  • クリエイティブ思考が新しい基準を発想する原動力
  • データ活用が拡大し、商業広告の役割は縮小する
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