当社では基本的に12ヶ月契約でブランドづくり、市場浸透のマーケティングを実施していますが、特定のご依頼では短期的な成果を求められます。今回は、短期的な成果を上げるが、マーケティングの基本を導入する流れをターゲット定義から、公式サイト(オウンドメディア)×Google広告までを『2週間スプリント』で回す実務ガイドをご案内します。
短期で成果を出す鍵は「定義→制作→計測→改善」を薄く広くではなく、狭く深く回すことです。今回は、最短2週間で実装できる実務フローを、ターゲットと便益の定義から、オウンドメディア活用のGoogle広告運用まで一気通貫でまとめてみます。
1. スプリント設計(全体像)
Day 1
戦略ターゲット/コアターゲット/便益(提供価値)/戦略エクイティを定義する
Day 2
優先させるコアターゲットの定義/優先ターゲットに対するオファーとCTAの概要を定義する
Day 3-4
公式サイトorLPなどのオウンドメディア制作又は改修対応のため要件定義を実施
Day 5
Googleタグマネージャー計測タグ&トリガー定義/Google広告アセットなどの準備
オウンドメディアのリリース&QA
改修対象のオウンドメディアをリリースします
Day 6
Googleリスティング広告テスト配信を開始します
Day 7-13
Googleリスティング広告テスト最適化(入札・検索語句・クリエイティブ・LPO)
Day 14
レビュー(学びや実施の言語化→次スプリントへ)
2. ターゲットと訴求する便益の定義
1-1. Who / Job / Barrier / Gain
・Who(誰に): 例)中小製造業の経営者、年商10–50億、東日本
・Job(やりたいこと): 新規見込み企業の継続獲得
・Barrier(阻害要因): 内製人材不足、広告運用の学習コスト
・Gain(得たい便益): リード単価の安定化と商談品質向上
1-2. コミュニケーション定義
戦略ターゲット、コアターゲットとのコミュニケーションステップを定義します。便益(Benefit)→オファー(Offer)→CTA(Action)
・コア便益: 「〇〇の工数を50%削減」「失注理由を可視化」など結果を約束
・オファー: 例)無料診断/導入事例PDF/費用シミュレーション
・CTA: 「3分で診断する」「資料を今すぐ受け取る」
1-3. RTB定義
数値実績(例:CPA▲30%/導入社数/継続率)、顧客の声、第三者評価、プロセスの透明化
オウンドメディア(公式サイト)設計の最小要件
2-1. LPの基本型
・ヒーロー(1画面):便益コピー+主要CTA(1つに絞る)
・課題→解決:顧客課題を短文で列挙→解決像を視覚化
・RTB:数字・事例・ロゴ・受賞歴
・オファー:資料名・中身を箇条書き・受け取りメリット
・FAQ:意思決定の壁を潰す(価格/契約/セキュリティ/期間)
・再CTA:スクロール末尾で再度同じCTA
2-2. 計測・基盤
・GA4:view_item,generate_lead などイベント定義
・GTM:フォーム送信/電話タップ/ファイルDL/スクロール深度
・同意管理:クッキー同意(広告ID/コンバージョン連携の許諾)
・ページ速度:CLS・LCP改善(画像WebP/遅延読み込み)
2-3. フォーム最小構成
・入力項目は5つ以内(氏名/会社/メール/電話/自由記入)
・バリデーション(電話/メール形式)+確認画面省略で摩擦低減
・サンクスページURLを分け、CV計測&リマーケ基点に
短期試作用のKPIツリーを作成しよう!
・KGI:当月の有効リード数(または商談化数)
・CV数=セッション数 × CVR
・セッション数=クリック数 × LP到達率
・クリック数=インプレッション × CTR
・CPA=広告費 ÷ CV数(許容上限を明文化)
スタート指標の目安(仮): CTR 4–6% / CVR 2–5% / 直帰率 < 55% / LCP < 2.5秒
Google広告:短期で成果を出す基本設計
4-1. キャンペーン構成(短期施策では狭く深く)
検索広告:コア意図に集中
キャンペーンA:商談直結(高意図)
キャンペーンB:情報収集(中意図)
ブランド指名は別キャンペーン(低予算で守り)
P-MAXは素材と測定が整ってから2ndスプリントで
4-2. キーワード設計
一致タイプの使い分け
完全一致:意図が明確な“ど本命”
フレーズ一致:類義・順序の許容で探索
部分一致(限定的):学習目的。除外語を必ずセット
除外キーワード:無料/求人/中古/意味違い語などを初日から厚めに
4-3. 構造と入札
広告グループはテーマを細分化(SKAG-lite)
RSA(レスポンシブ検索広告):見出し12・説明4を準備、便益×証拠×オファーを組み合わせ
入札:開始は目標コンバージョン単価 or 最大化コンバージョン(CV最低30/30日を目指す)
日予算:目標CV×CPA×安全係数(1.2–1.5倍)
4-4. 広告アセット(実務ヒント)
見出し:便益(数値)/用途/差別化/CTA(各種を網羅)
説明文:課題→解決→オファー→安心材料
広告表示オプション:サイトリンク(価格/導入事例/FAQ/会社情報)、コールアウト(工数削減/最短〇日)、構造化スニペット(機能・業種対応)
UTM & データ可視化
すべての広告URLに UTM を付与
utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign={campaignid}&utm_content{adgroupid}&utm_term={keyword}
Looker Studioで “日次レポート” を自動化(費用/クリック/CVR/CPA/検索語句)
ローンチ前QAチェックリスト(抜粋)
・サンクスページでCV発火(GA4/広告/タグアシスタントで確認)
・スマホUI(親指到達/フォント/CTA固定)
・404/リダイレクトなし、LCP・CLS基準内
・除外キーワード適用/地域・時間帯設定/言語設定
・ざっくりブランド名で検索→自社LPが出るか/指名獲得できているか
ローンチ後14日間の運用ルーチン
Day 1–3(初動)
検索語句を毎日精査 → 除外を厚く
入札は触りすぎない(学習保護)
Day 4–7(安定化)
クリック集中のアセット組み合わせを分析
LPの折り返しCTA・ファーストビュー文言を微修正(1変更/日以下)
Day 8–14(最適化)
広告アセットのA/B(見出しの数値/CTA差し替え)
地理・時間帯の入札調整(成果高いセグメントに+10〜20%)
オファー強化(事例PDF→導入チェックリストなど“手触り”を上げる)
クリエイティブ:便益コピーの作り方
見出し例
「【最短7日】〇〇の工数を50%削減」
「問い合わせは増える、運用工数は増やさない」
「無料診断:いまの広告の無駄を可視化」
説明文例
「導入社数〇社の実績。平均CPA▲30%。3分で資料請求。」
「担当者が変わっても再現可能な運用設計。FAQと価格を開示。」
リマーケティング & マルチチャネルの最小構成
タグベースのオーディエンス:LP到達/50%スクロール/フォーム離脱
RLSA(検索での入札上げ):再訪ユーザーに+20%
ディスプレイ追跡は頻度3/週・7–14日で控えめ
メール/LINE公式:オファーDL後24–72時間にリマインドを自動送信
失敗あるあるは先に潰そう!
便益が曖昧(機能説明の洪水)→ 数字と具体を先頭に
CTAが分散(資料/問合せ/無料相談/デモ…)→ 1つに絞る
除外語が薄い→ 初週は毎日メンテ
計測未整備→ CV発火とUTMがないと最適化不能
P-MAX乱立→ 素材/測定/LPが整うまで待つ
スプリント後の“学びの固定化”
勝ちコピー(見出し/説明の組み合わせ)をナレッジ化
検索語句から“顧客の言葉”を抽出→LP見出しへ反映
FAQの追加:問合せメール/商談で出た不安は即サイトへ
そのまま使える1枚ブリーフ(コピペOK)
ターゲット:
課題や理想:
コア便益・戦略エクイティ:
RTB: 証拠(数値/事例):
オファー(資料/診断):
主CTA文言:
主要キーワード(完全/フレーズ/除外):
LP URL(サンクスURL):
計測イベント(GA4/GAds):
今スプリントのKGI/KPI/閾値:
短期の成果は魔法の施策ではなく、定義→制作→計測→改善の正しい順番と回転速度で決まります。まずは狭いターゲット×単一オファー×1つのCTAでローンチし、14日で学びを固定化。次のスプリントでは、P-MAXや動画、指名防衛の強化に広げていきましょう。