クリエイティブシンキングとAIの融合で生まれる『究極の古典的企業文化』は、株式会社シセイラボが提案するコマ経営を基盤とした新たな提案です。
伝統と革新の新次元への昇華
前回はAIとクリエイティブ思考の融合がマーケティングコミュニケーションにおける重要な観点であることをお伝えしました。今回は、クリエイティブシンキングとAIの組み合わせが『究極の古典的企業文化』を生み出せる可能性があることについて触れてみたいと思います。この概念は、一見矛盾するように思われますが、日本の老舗企業が長年実践してきた「伝統と革新の両輪経営」をデジタル時代に進化させた形として理解することができます。

古典的企業文化の本質とは
- 伝統と革新が融合した究極の古典的企業文化とはどのようなものでしょうか?
従来の古典的企業文化とは、企業が財・サービスを提供する基本的機能を果たしながら、株主の私有財産として利潤追求を目的とする企業観でした。しかし、現代においてはより複雑で多面的な企業の役割が求められています。
日本の老舗企業研究によれば、真の古典的企業文化とは「コマ経営」として表現されます。
家訓
家訓は『創業者の教え』で、創業者や家族が代々大切にしてきた価値観や行動指針です。例えば「お客様を家族のように大切にする」「正直に商う」「地域への恩返しを忘れない」など。コマの芯(軸)のように、どんな時代でもぶれない拠り所となります。
のれん
のれんは『伝統とブランド価値』で、長年培った信用・知名度・顧客との関係です。例えば、老舗としての味やサービスの品質、代々受け継がれた技術や仕組みなどがのれんにあたります。コマの模様のように外から見える個性と歴史です。
経営理念
経営理念は『企業としての使命・目的』で、家訓を現代的に言い換え、全社員で共有する言葉です。例えば、「地域社会とともに成長し、喜びを分かち合う企業になる」コマの回転を続ける力(全体を動かすエネルギー)になります。
革新的な取り組み
デジタル化、新しい商品開発、海外展開など時代や顧客に合わせた『時代適応・進化・変化』です。例えば、伝統製法を活かしつつ、ネット通販やサブスクモデルに挑戦するなど、コマの回転スピードを上げたり、倒れないようバランスを取り続ける仕組みになります。

AI時代における『究極の古典的企業文化』の構造
不変の軸は?人間中心の価値創造
クリエイティブシンキング×AIの組み合わせにおける「軸」となるのは、人間の尊厳と創造性を最優先にする価値観です。日常的な仕事の中のわかりやすい例としては、「この地域のこの会社から。」」「あなたから買いたい。」「君と契約したい。」という人間と人間の関係性の価値です。
人間の尊厳と創造性を最優先にする価値観で重要な3つのポイントを整理してみます。1つ目は、『人間性の尊重』。AIが担当する業務領域を明確化し、人間は創造的で価値の高い業務に専念するというものです。2つ目は、継続的な成長と外部環境への適応を組織のDNAに組み込むための学習する組織文化を醸成するということ。そして、最後のポイントはあくまでも技術の力を人類の幸福と社会の発展のために活用するという倫理的AI活用です。
革新の遠心力
AI活用による創造性の拡張
ビジネスの「遠心力」として働く革新的要素は、AIを活用した創造性の無限拡張です。AIがデータ分析や情報整理を担当し、人間はより高次な発想に集中できるように拡散思考の支援に生成AIを活用します。AI支援により短時間で多くのアイデアを試行錯誤できる環境が整いだすと、実験的な取り組みは自然と加速していきます。
さらに、AI活用は、ローカルな情報や認識している情報に留まらず、世界中の知識とローカルな創造性を融合させる能力として捉えることもできます。多くのビジネスカテゴリで、グローバルな知見の統合も加速させる、AIをうまく使うことはやっぱり重要に思います。

究極性を生み出すメカニズム
時間軸の圧縮と拡張
従来の老舗企業は数百年という時間軸で伝統と革新のバランスを取ってきましたが、AI時代では「究極」と呼べる企業文化を数年で構築することが可能になりそうです。
生成AIによる業務効率化により、国内でも週平均4.75時間の時間創出や年間2万時間の業務時間削減といった具体的成果が報告されています。この創出された時間を組織文化の深化と創造性の向上に投資することで、従来なら何世代もかかる文化醸成を短期間で実現できます。
水平的集団主義の進化
日本型経営の特徴である水平的集団主義が、AI時代においてさらなる進化を遂げると考えられます。強い企業文化による価値共有を通じた組織統合が、AIとクリエイティブ思考の融合によってより高度なレベルに到達します。
全社員がGeminiやChatGPTなどのAIツールを活用し、創造的作業に参加できる環境をととのえる努力はAIを会社の資本とする動きです。AIによる情報共有とクリエイティブ思考による知識創造の循環は知識の水平展開を可能にします。これまで、ブラックボックスになっていた属人化されている業務フローも明るくなっていくでしょう。
また、社内外をとわず異なる専門性を持つ人材が、AI支援により効果的にコラボレーションできる環境を整えることで多様性が統合され、これまでに考えられなかったような価値が提供できるかもしれません。
提案
具体的なAI文化形成プロセス
デジタル基盤上で伝統価値を再定義する
企業の根本的な価値観や理念を、AIとの協働を前提とした形で再構築してみます。これは単なるデジタル化ではなく、人間とAIの役割分担を明確にした上での価値体系の再設計です。
創造的実験文化ラボ
心理的安全性の確保と失敗を許容する文化を基盤として、AIを活用した創造的実験を日常業務に組み込みます。これにより、従来の「慎重な変革」から「大胆な実験」への文化転換が可能になります。
持続的進化システム
AIの学習能力と人間の創造力を組み合わせた自己進化するシステムを構築します。組織自体が学習し、適応し、創造し続ける「生きた文化」として機能するようになります。

『究極の古典的企業文化』の特徴
時間を超越した普遍性
究極の古典的企業文化は、技術の進歩に左右されない普遍的な価値(人間の尊厳、創造性、学習、成長)を核としているため、将来的にAI技術がさらに進歩しても通用する堅固な基盤を持ちます。
「最先端技術」と「不変の価値観」、「効率性」と「創造性」、「個人の自律」と「組織の統合」といった従来は矛盾すると考えられていた要素を高次元で統合できる可能性を秘めています。矛盾の統合をAIとクリエイティブ思考で実現できる可能性を提案しています。
さらに、この文化を持つ企業は、単なる利益追求を超えた社会的価値創造に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献する存在となります。これは現代社会が企業に求める新しい役割と完全に合致しています。

実現への道筋は?
当社のような社会課題解決を使命とする企業において、この『究極の古典的企業文化』は特に大きな意味を持ちます。教育問題、地方企業のデジタル化、データ活用の可視化といった複雑な社会課題に対し、伝統的な日本企業の価値観とAI時代の革新的手法を融合させることで、これまでにない解決アプローチを創出することができるでしょう。
この文化の構築は、人類の叡智の結晶としての伝統と最先端技術による無限の可能性を統合した、まさに「究極」と呼ぶにふさわしい企業文化の到達点を目指すものなのです。