今回は、商品やサービスや製品の市場での販売期待値である市場シェアを算定するための、『市場規模の算出』の考え方について触れたいと思います。
市場規模とは何か?
市場規模とは、ある商品やサービスがどれだけ売れるか、または売れるお金のことです。つまり、「この商品やサービスをどれだけ多くの人が欲しいと思っているか?」や「全部売れたらいくらになるか?」を考えることです。
たとえば、クラスで手作りのアクセサリーを売りたいとき、そのアクセサリーを欲しいと思っている人が何人いるかを考えます。クラスの全員が欲しいなら、その数は30人かもしれません。これがそのアクセサリーの「市場規模」です。市場規模が大きいほど、たくさん売れる可能性があるということです。

サッカー用AIカメラの例
想像してみてください。あなたはサッカーの試合を自動で撮影してくれるAIカメラを作ったとします。このカメラをどれだけの人が欲しいと思っているかを考えることで、市場規模を計算できます。
TAM – Total Addressable Market
TAMは日本語で「総潜在市場」と呼ばれ、『理論上の最大の市場規模』を指します。これは、「もし世界中のすべての対象顧客があなたの製品を購入したら、どれくらいの市場規模になるか」を考えることで、あなたの製品やサービスが適用できるすべての顧客が含まれます。
サッカー用AIカメラは、試合を自動で撮影し、リアルタイムで分析やハイライトを提供するカメラです。このカメラがすべてのサッカーチーム(プロ・アマチュア、学校、クラブチームなど)に販売された場合の市場規模がTAMです。例えば、世界中に存在するすべてのサッカーチームの数が100万チームと仮定し、1チームあたりのAIカメラの販売価格が10万円とします。この場合のTAMは以下のように計算されます。
SAM – Serviceable Available Market
TAMは理論上の最大市場規模でしたが、SAMでは現実的に販売可能な市場で算出します。SAMは日本語で「サービス提供可能市場」と呼ばれます。
例えば、サッカー用AIカメラを販売する際、すべての国や地域に進出するわけではなく、特定の国々に絞る場合があります。例えば、最初に日本、アメリカ、ヨーロッパの3つの地域に絞ったとします。この地域におけるサッカーチームの数が合計で20万チームである場合のSAMは、以下のように計算されます。
SAMは、TAMの中で実際にアプローチ可能な市場規模を指します。ここでは、製品やサービスが実際に提供可能な地域や顧客層に絞り込まれます。
SOM – Serviceable Obtainable Market
SOMは日本語では「サービス獲得可能市場」と表現されます。SOMは、SAMの中で実際に獲得できるであろう市場規模を指します。これは、競争状況やマーケティング戦略、リソースの制約などを考慮して算出されます。最初の1年でどれだけのチームが本当にカメラを買ってくれるかを予想します。競争があって、すべてのチームがすぐに買うわけではないので、3万チームが買ってくれるとします。これがサービス獲得可能市場(SOM)で、30億円の市場規模になります。
例えば、あなたのAIカメラ事業が、日本とアメリカ市場での強い競争相手と対峙していると仮定します。その結果、最初の3年間で獲得できるチーム数が3万チームと予測される場合、SOMは以下のように計算されます。
SOMは現実的に獲得可能な市場規模で、販売計画になります。

市場規模把握の目的と必要性
市場規模を知ることは、どれだけの商品を作るか、どこで売るか、どれくらいのお金を使って宣伝するかを考えるためにとても重要です。たとえば、大きな市場があるなら、たくさんの商品を作っても大丈夫ですし、少し高い値段で売っても大勢の人が買ってくれるかもしれません。
逆に、市場規模が小さい場合は、あまりたくさんの商品を作らず、しっかりと狙いを定めた場所で売る方が良いかもしれません。市場規模を知ることは、ビジネスが成功するためにとても大事なことです。何人がその商品を欲しいか、どれくらいの売上が見込めるかをしっかりと考えることで、計画を立てやすくなります。これは、学校のプロジェクトや将来のビジネスを考えるときにも役立つ考え方です。
まとめ
TAM(総潜在市場)
あなたの製品やサービスがすべての潜在的な顧客に売れた場合の市場規模。例: 1000億円
SAM(サービス提供可能市場)
実際にアプローチ可能な地域や顧客層に基づく市場規模。例: 200億円
SOM(サービス獲得可能市場)
実際に獲得できると予測される市場規模。例: 30億円
このように、TAM、SAM、SOMを順に理解していくことで、事業計画の立案において現実的かつ具体的な市場規模の予測が可能になります。サッカー用AIカメラ事業の例を通して、これらの概念を学ぶことで、どのように自社製品の市場を評価するかの理解が深まるでしょう。