はじめに
Step1からStep11まで、私たちはマーケティング戦略の完全な体系を学んできました。
- Step1~3(基礎)で市場を理解し、ターゲットを定義し、価値を創造
- Step4~6(戦略)で組織を整備し、目標を設定し、ブランド全体像を構築
- Step7~9(ポジショニング・販売)で市場での立場を明確にし、コミュニケーション設計を完成させ、販売戦略を構築
- Step10~11(実行)でコンセプト展開とコミュニケーション実行計画を完成させました
しかし、ここまで進んでも、最も本質的な問題が残っています。
「すべての施策を貫く『本当の目的』は何か?」
「なぜ、この企業は存在するのか?」
「顧客に、何を伝えたいのか?」
これまでのStep1~11は、マーケティングの「テクニック」を学ぶステップでした。でも、Step12は、「テクニックを超えて、企業の『本質』を問い直すステップ」です。言い換えれば、Step12は、「市場理解と実行の循環を完成させ、企業の使命と価値観を、ストーリーを通じて、すべてのステークホルダーに伝える」 ステップなのです。
Step12では、3つの要素を統合します。
- Mission(ミッション) 「なぜ、企業は存在するのか」という根本的な目的
- Vision(ビジョン) 「企業は、どんな世界を目指しているのか」という未来像
- Concept(コンセプト) 「ビジョンを実現するために、何をするのか」という具体的なアプローチ
そして、これら3つを統合したミッションステートメントを、ストーリーテリングを通じて、市場に伝えます。
第1章:Step12の本質 – 循環的統合とストーリーテリング
Step12が特別な理由:「終わりは、始まり」
Step1~11とStep12の違いは、「戦術」と「戦略」の違いではなく、「マーケティング」と「企業哲学」の違いです。
従来のマーケティングの問題
多くの企業は、以下のような矛盾を抱えています。
施策レベルでは:「最高品質の商品です」
でも本心では:「利益が出ればいい」
顧客が感じるもの:「この企業、本当のことを言ってる?」
結果:信頼が生まれない、顧客ロイヤリティが低い
Step12が実現すること
Step12では、この矛盾を解消します。
企業の本質(ミッション)が明確
↓
組織全体が同じ目的で動く
↓
すべての施策が、その目的に向かっている
↓
顧客が感じるもの:「この企業、本気だ」
結果:信頼が生まれ、ロイヤリティが高まる
MVC(Mission, Vision, Concept)とは
MVC階層の理解
マーケティング戦略には、3つのレベルがあります。
レベル1:MISSION(ミッション)
「なぜ、企業は存在するのか」
時間軸:タイムレス(永遠)
例:「すべての人に、学習機会を提供する」
↓ より具体的に
レベル2:VISION(ビジョン)
「企業は、どんな世界を目指しているのか」
時間軸:5~10年後
例:「すべての人が、インターネットで自由に学べる世界」
↓ さらに具体的に
レベル3:CONCEPT(コンセプト)
「ビジョンを実現するために、何をするのか」
時間軸:現在~3年後
例:「低コストで、高品質な、誰もが使いやすいオンライン教育プラットフォーム」
なぜ、MVC 3層が必要か
3層がそれぞれ異なる役割を果たしています。
MISSION → 社員のやる気を引き出す
「この仕事は、社会に役立つ」というモチベーション
VISION → 戦略の方向性を示す
「これが目標。向かうべき方向はこっちだ」
CONCEPT → 実行の具体性を示す
「では、実際に何をするか」
マーケティング12ステップの循環構造
Step12は、「終わり」ではなく「新しい始まり」です。
Step 1-3:市場を理解する
↓
Step 4-6:戦略を構想する
↓
Step 7-9:ポジショニング・販売を設計する
↓
Step 10-11:実行する・測定する
↓
Step 12:ミッション・ストーリーを統合する
↓
Step 12の成果が、新しいStep 1の「市場理解」に反映される
↓
次のサイクルへ(進化し続ける)
このサイクルは、「仮説→実行→学習→進化」を繰り返す、持続的成長のプロセスなのです。
第2章:Mission, Vision, Conceptの定義と策定
Mission(ミッション):「なぜ、企業は存在するのか」
ミッションの定義
定義:企業が社会に提供する、根本的な目的や価値。
特徴
- タイムレス(時間に左右されない)
- 普遍的(世代や状況が変わっても変わらない)
- 利益ではなく、社会への貢献に焦点
- すべての施策の基準となる「北極星」
ミッションの例
企業A:「テクノロジーで、人間らしい生活を実現する」
- テクノロジー企業ですが、目的は技術ではなく「人間らしさ」
企業B:「すべての人に、学習機会を提供する」
- 教育企業の根本的な目的
企業C:「社会課題を、データで解決する」
- コンサル企業やデータ企業であれば、このようなミッションが考えられます
ミッションの重要性
なぜ、ミッションが重要か。それは、社員のやる気と顧客の信頼を生むからです。
ミッションなし:
「毎日、同じ仕事をしている。給料のために」
→ 社員のやる気:低い、離職率:高い、サービス品質:低い
ミッションあり:
「毎日、社会に役立つことをしている。だから頑張る」
→ 社員のやる気:高い、離職率:低い、サービス品質:高い
Vision(ビジョン):「企業は、どんな世界を目指しているのか」
ビジョンの定義
定義:ミッションを実現するために、企業が目指す具体的な未来像。
特徴
- 時間軸がある(通常5~10年後)
- 具体的(実現可能性が感じられる)
- 測定可能(進捗が測定できる)
- 鼓舞的(実現したいという気持ちを起こさせる)
ビッションの例
企業A:「テクノロジーで、人間らしい生活を実現する」(ミッション)
→ ビジョン:「2030年までに、全ての高齢者が、テクノロジーで、自分のペースで生きられる社会」
企業B:「すべての人に、学習機会を提供する」(ミッション)
→ ビジョン:「2030年までに、経済格差関係なく、誰もが世界レベルの教育を受けられる」
企業C:「社会課題を、データで解決する」(ミッション)
→ ビジョン:「2030年までに、すべての企業と自治体が、データを駆使して、社会課題を解決している」
ビジョンが与える効果
ビジョンなし:
「毎年の目標は?」「今期の売上目標です」
→ 短期的、場当たり的になりやすい
ビジョンあり:
「毎年の目標は?」「ビジョンに向かって、どの課題を解くか」
→ 長期的視点、戦略的になる
Concept(コンセプト):「ビジョンを実現するために、何をするのか」
コンセプトの定義
定義:ビジョンを実現するための、具体的なアプローチ、独自の方法。
特徴
- 実行可能(現在から実行できる)
- 差別化された(競合と異なる)
- 市場適応的(市場ニーズに合致している)
- Step10で定義したブランドコンセプトと同義
コンセプトの例
企業A:
ミッション:「テクノロジーで、人間らしい生活を実現する」
ビジョン:「全ての高齢者が、テクノロジーで、自分のペースで生きられる社会」
コンセプト:「使いやすさ第一のシニア向けスマートデバイス。複雑な機能ではなく、本当に必要な機能だけ」
企業B:
ミッション:「すべての人に、学習機会を提供する」
ビジョン:「経済格差関係なく、誰もが世界レベルの教育を受けられる」
コンセプト:「スマートフォン1台で、世界レベルの教育を、月500円で学べるプラットフォーム」
企業C:
ミッション:「社会課題を、データで解決する」
ビジョン:「すべての企業と自治体が、データで社会課題を解決している」
コンセプト:「複雑なデータを、美しく、わかりやすく可視化するサービス。専門知識なしに、誰もがデータを理解できる」
MVCの関係性
MISSION が「目的地」なら
VISION は「どの駅に行くか」なら
CONCEPT は「どの電車に乗るか」
全てが一貫していることが重要。
❌ 悪い例:
ミッション:「社会貢献」
ビジョン:「環境問題を解決する」
コンセプト:「利益最大化のため、安い素材を使う」
→ ミッション・ビジョンと、コンセプトが矛盾している
✓ 良い例:
ミッション:「社会貢献」
ビジョン:「環境問題を解決する」
コンセプト:「100%リサイクル素材を使い、高品質を実現する」
→ 全てが一貫している
第3章:ミッションステートメント策定
ミッションステートメントとは?
「ミッション」を、短く、わかりやすく、鮮烈に表現した『文言』のこと。つまり、「なぜ企業は存在するのか」という答えを、1~2文で表現したものです。
ミッションステートメントの重要性
ミッションステートメントが素晴らしいと
社員採用が簡単に
「この会社、本気で社会に役立つことをしてる」
→ 優秀な人材が応募してくる
顧客獲得が簡単に
「この企業、本当のことを言ってる」
→ 顧客が信頼し、選んでくれる
組織の統一が簡単に
「全員、同じ目的に向かっている」
→ 施策が一貫し、効果が高まる
ミッションステートメント策定の7ステップ
ステップ1:基礎情報の収集
以下の人たちに、聞き込みをします。
創業者・経営層へ
- 「なぜ、この企業を作ったのか」
- 「何が、起業の動機だったのか」
- 「儲かることと、使命のどちらが大事か」
社員へ
- 「なぜ、この企業で働いているのか」
- 「毎日の仕事で、何を感じているのか」
- 「この企業なら、何を成し遂げたいか」
顧客へ
- 「この企業のどこが好きか」
- 「この企業から、何を得ているか」
- 「この企業は、社会に何をしていると思うか」
ステップ2:根本的な目的の特定
以下の問いに答えます。
□ もし、もう儲からないなら、この事業を続けるか
□ 競合に勝つことより、大事なことは何か
□ 社員が最も誇りを感じる瞬間は、どんな時か
□ 社会から「ありがとう」と言われるのは、何の時か
ステップ3:誰を服務するかの明確化
ミッションは、誰を対象としているのか。
例1:「従業員の幸福」を目指す企業
例2:「顧客の人生向上」を目指す企業
例3:「社会全体の課題解決」を目指す企業
例4:「地域経済の活性化」を目指す企業
ステップ4:変化を明確にする
「現状」から「理想状態」へ、何が変わるのか。
現状:「多くの地方企業は、データを活用できていない」
理想状態:「すべての企業が、データを使って成長している」
→ ミッションステートメント案:「地方企業が、データで成長する社会を実現する」
ステップ5:本当に本気か確認する
最重要ステップ。
質問:「もし、利益が出なくても、このミッションを続けるか」
もし「はい」なら → 本物のミッション
もし「いいえ」なら → 実は、利益が最優先(ミッションはない)
多くの企業は、この段階で「本当のミッション」と向き合います。
❌ 最初の答え:「社会に役立つサービスを提供する」
しかし実際:「利益が出るなら何でもいい」
✓ 本当のミッション:「利益も大事だが、社会への貢献がある場合のみ事業をする」
ステップ6:わかりやすく、印象的に表現する
ミッションステートメントの「ことば」を工夫します。
表現の工夫
❌ 悪い例:「最高品質の商品を、適正価格で、提供する」
(一般的で、誰でも言える)
✓ 良い例:「すべての人に、アクセス可能な『高品質』を実現する」
(特定のターゲット、特定の価値観が明確)
ミッションステートメントの公式
| 公式 | 例 |
|---|---|
| 「[社会課題]を、[独自アプローチ]で、解決する」 | 「地方企業のデジタル化を、美しいデータ可視化で、推進する」 |
| 「[ターゲット]が、[望ましい状態]になることを、実現する」 | 「すべての企業が、データを駆使して、成長することを実現する」 |
| 「[何を]を通じて、[社会への貢献]を実現する」 | 「テクノロジーを通じて、社会課題解決を実現する」 |
ステップ7:検証と改善
以下の質問に「はい」と答えられるまで、繰り返し改善します:
□ 社員が、このミッションに誇りを感じるか
□ 顧客が、このミッションに共感するか
□ 実際の事業内容と、ミッションが一貫しているか
□ 競合のミッションと、大きく異なるか
□ 創業者本人が、心から信じているか
□ 利益が出なくても、続ける価値があると思うか
ミッションステートメントの実例
実例1:Patagonia(パタゴニア)
ミッション:「We’re in business to save our home planet」
(和訳:我々は、地球を救うために、ビジネスをしている)
なぜ強力か。
- 利益より、地球保全を優先することが明確
- 実際の事業(環境に優しい製品開発、企業活動)と一貫
- 社員が誇りを持ちやすい
- 同じ価値観の顧客が集まりやすい
実例2:Airbnb(エアビーアンドビー)
ミッション:「Create a world where people can belong anywhere」
(和訳:どこにいても、誰もが属する場所を感じられる世界を作る)
なぜ強力か。
- 感情的でありながら、具体的
- 単なる「旅」ではなく「つながり」が中心
- ビジネスモデル(見知らぬ人を結びつける)と一貫
実例3:SHISEILABOの最初期(シセイラボ)
可能なミッション案。
「データの力で、社会課題を解決し、
日本の企業と地域が、最高の未来を創る」
なぜこれか:
- 「社会課題解決」を掲げている(営利企業だが、社会貢献も重視)
- 「データ」と「可視化」という独自性を表現
- 「日本」と「地域」に焦点(地方企業支援というビジョンに合致)
- 「企業と地域」は、ターゲットの明確化
第4章:ストーリーテリングの力と実装
なぜ、ストーリーが必要か
ファクト vs ストーリー
FACT(事実):
「弊社は、10,000社にデータ可視化サービスを提供しています」
顧客の反応:「へ、そう」(心が動かない)
STORY(物語):
「ある地方の小さな製造業。社長は毎晩、エクセルシートと睨めっこ。
『データはあるが、何が起こっているのか分からない』と悩んでいました。
当社のサービスを導入後、3ヶ月で全社員がデータを理解。
結果、営業効率が30%向上し、会社は新しい市場に進出できました」
顧客の反応:「へえ、面白い。うちも試してみようかな」(心が動いた)
ストーリーが強力な理由は、「感情と論理を同時に伝える」からです。
ファクト:論理だけ → 説得力は弱い
ストーリー:感情+論理 → 説得力は10倍以上
物語構造:英雄の旅(Hero’s Journey)
すべての感動的なストーリーには、共通の構造があります。
それが、「英雄の旅」 です。
第1幕:序章
STAGE 1:通常の世界
- 主人公の「今」を描く
- 「何が問題か」は、まだ明確でない
- 読み手が「この人に共感できる」と思う、親しみやすさが重要
例:
「山田さんは、中堅メーカーの営業部長。毎晩、エクセルでデータ分析。
それが、ただ時間がかかり、分析が終わるのは翌朝」
STAGE 2:冒険への呼び声
- 「問題」が明確になる瞬間
- なぜ、今、変わらないといけないのか
- 時間の切迫感
例:
「ある日、新商品の営業計画を立てることになった。
しかし、現在のデータ分析方法では、時間が足りない。
3日で分析結果を出さないと、市場機会を失う」
STAGE 3:拒否
- なぜ、すぐに行動しないのか
- 困難さ、恐れ、疑い
例:
「山田さんは、新しいツールを試すことに躊躇した。
『複雑そう』『本当に役に立つのか』『部下の学習コストが…』」
STAGE 4:師匠との出会い
- 解決策、手助け、ガイドの登場
- ここで『当社のサービス』が登場する
例:
「営業部の先輩が、『ちょっと、このツール試してみない?』と教えてくれた。
その先輩は、別の部署で既に使っていて、仕事が半分の時間で終わるようになったという」
第2幕:冒険
STAGE 5:しきい値を越える
- 実際に、行動を起こす
- 新しい世界への踏み出し
例:
「山田さんは、2時間だけ試してみようと決めた。
まず、基本的な使い方をオンラインで学習し、自分の販売データを入力してみた」
STAGE 6:試練と学習
- 最初は難しい
- 味方の助け
- 徐々に適応
例:
「最初の1週間は、新しいやり方に戸惑った。
でも、当社のサポートチームが丁寧に教えてくれた。
2週目には、データを入力するのが半分の時間に。
3週目には、新しい気づきが出始めた」
STAGE 7:最大の試練
- 最も難しい瞬間
- 「やっぱり、だめかもしれない」という疑い
- ここで克服できるか、諦めるか
例:
「ある日、システムが不調になった。
重要なデータが失われ、山田さんは『これは失敗だ』と落ち込んだ」
STAGE 8:報酬
- 試練を乗り越えた
例:
「当社のサポートチームが即座に対応。
データは復旧した。そして、なぜ不調になったのか、
今後のために何をすべきかを提案してくれた。
山田さんは『これは、ツールが悪いのではなく、
パートナーとして支えてくれるサービスなんだ』と気づいた」
第3幕:帰還
STAGE 9:帰路
- 学んだことを統合する
- 自分がどう変わったかに気づく
例:
「3ヶ月後、山田さんのチームの営業効率は30%向上。
不思議なことに、営業成績も上がった。
理由は、データに基づいた営業活動ができたから」
STAGE 10:復活
- 最後のテスト
- 完全な変身の証明
例:
「新商品の営業計画は、3日で完成。
しかも、詳細で信頼できるデータ分析に基づいていた。
経営層から『これは、素晴らしい』と褒められた」
STAGE 11:知恵の獲得
- 読み手へのメッセージ
- 「だから、あなたも…」
例:
「山田さんは今、新しい部長候補として評価されている。
彼が実現したのは、『テクノロジーを味方に付けることで、
時間を取り戻し、本当に大切な戦略思考に集中できる』ということ。
あなたも、同じ変身ができます」
企業のストーリー5つのタイプ
企業によって、語るべきストーリーは異なります。
タイプ1:Origin Story(起源物語)
「この企業は、なぜ生まれたのか」
何を伝えるか
- 創業のきっかけ、創業者の葛藤
- 社会的な背景
- 「この企業ができてよかった」という感情
使う場面
- 会社紹介資料
- 創業時のインタビュー
- ブランドストーリーのページ
タイプ2:Customer Success Story(顧客成功物語)
「この企業を使うと、こう変わった」
何を伝えるか
- 顧客の「before」と「after」
- 具体的な変化
- 顧客の喜び
使う場面
- ケーススタディ
- 営業資料
- マーケティング施策(広告、SNS)
タイプ3:Mission/Impact Story(ミッション物語)
「この企業は、社会に何をしているのか」
何を伝えるか
- 社会への影響
- 個々の実例
- 企業の本質的な価値観
使う場面
- 年次報告書
- CSR活動の報告
- ブランド広告
タイプ4:Culture Story(文化物語)
「この企業では、どう働いているのか」
何を伝えるか
- 実際の社員の声
- 企業文化の実例
- 働き甲斐
使う場面
- 採用資料
- 会社紹介動画
- 社内報
タイプ5:Vision Story(ビジョン物語)
「この企業は、未来をどう見ているか」
何を伝えるか
- 企業が目指す未来
- その未来がなぜ重要か
- 社会への貢献
使う場面
- 投資家説明会
- 長期戦略発表
- ビジョナリーなコミュニケーション
ストーリーテリングの展開戦略
ストーリーは、単なる「物語」ではなく、戦略的に展開される必要があります。
Stage 1:内部向けストーリー
目的:社員を鼓舞し、文化を醸成する
使うストーリー:Origin Story、Culture Story、Customer Success Story
展開方法
- 全社朝礼での共有
- 新入社員研修での伝達
- 内部コミュニケーション・ツール
期待される効果
- 社員が「この会社のために働きたい」と感じる
- 社員が、顧客に同じストーリーを伝える
- 社員のエンゲージメント向上
Stage 2:ステークホルダー向けストーリー
目的:投資家、パートナーから支援を得る
使うストーリー:Origin Story、Vision Story、Impact Story
展開方法
- 投資家説明会での発表
- パートナー企業との関係構築
- メディア露出
期待される効果
- 資金調達の成功
- パートナーシップの構築
- 信用性・評判の向上
Stage 3:顧客向けストーリー
目的:顧客の購買決定、ロイヤリティ向上
使うストーリー:Customer Success Story、Product Story、Brand Story
展開方法
- ウェブサイト
- マーケティング資料
- 営業プレゼンテーション
- SNS・広告
期待される効果
- 新規顧客獲得
- 既存顧客のロイヤリティ向上
- 口コミ・推奨
Stage 4:市場・文化向けストーリー
目的:社会への認知拡大、文化的影響
使うストーリー:Vision Story、Impact Story、Movement Story
展開方法
- メディア報道
- 業界カンファレンスでの登壇
- 思想リーダーシップの発信
- バイラルコンテンツ
期待される効果
- ブランド認知の拡大
- 業界内でのポジション確立
- 採用の優位性
- 時間とともに、ブランドエクイティ構築
まとめ:Step12から、新しいサイクルへ
Step12は、「マーケティング12ステップの終点」ではなく、「新しいサイクルの起点」です。
- Missionを通じて、企業の本質的な存在意義を明確にし
- Visionを通じて、達成すべき未来を描き
- Conceptを通じて、その実現方法を具体化し
- ミッションステートメントとストーリーテリングを通じて、すべてのステークホルダーに、この価値観を伝えた
その結果:
社員が、同じ目的で動く
↓
顧客が、その一貫性を感じて信頼する
↓
口コミと推奨が、自然に広がる
↓
優秀な人材が、その企業で働きたいと集まる
↓
継続的な成長と、社会への貢献が実現される
↓
企業の使命と価値観が、進化し、高まっていく
このサイクルが、「持続可能で、社会に貢献し、ステークホルダーが幸福な企業」を実現するのです。
シセイラボが提案する「創造性で資産を増やす」マーケティングは、Step12で、ようやく 「企業の本質的な価値を、市場に伝え、文化的影響をもたらす段階」に到達する のです。
そして、その成果は、再びStep 1に還流し、新しい「市場理解」をもたらし、新しいサイクルの開始となります。
最後に シセイラボのミッション
このマーケティング12ステップの全体を通じて、シセイラボが目指しているものは、「売上最大化」ではなく、「社会課題の解決」です。ビジョンである 「地方都市の企業のデジタル化」「データ活用の推進」「教育課題の解決」 は、すべて、このStep12で定義される「ミッション」と「ビジョン」の実装なのです。
シセイラボのミッションステートメント…
「データの力で、社会課題を解決し、
日本の企業と地域が、最高の未来を創る」
このミッションステートメントがあるからこそ、シセイラボは
- 単なる「データ可視化ツール企業」ではなく、「社会変革企業」として位置づけられる
- 社員が、給料だけでなく「社会貢献」で動く組織になる
- 顧客も、「利益を最大化する道具」ではなく「社会を変える仲間」として企業を見る
- 投資家も、「儲かる事業」ではなく「社会に役立つ事業」として応援する
この12ステップの全体が、「シセイラボの本質を市場に伝え、社会的影響を創造するためのマーケティング・システム」なのです。
