日本から海外へ!海外挑戦時はスモールチームが最適な理由

グローバル市場に挑戦する企業の支援も当社の重要な仕事です。少子化、高齢化の日本において海外市場は魅力的な選択肢の一つです。そんな中で、日本企業の海外展開において、当社のこれまでの経験から、サービス内容や製品内容以上に、最初のコミュニケーションとチーム規模の適正化が価値であり成功の鍵と考えています。当社の実績から見えてきた「5名前後の決定権を持つスモールチーム」の有効性と、その戦略的価値について独自の解説をいたします。

  • 当社では英語でのコミュニケーションでこれまで中国の深圳市や杭州市、インドネシア、シンガポール、フィリピン、オランダなど幾つかのプロジェクトを海外展開した実績から下記のような観点が重要と考えています。
  • 海外マーケットで勝負する場合には決定権を持つ5名前後のチームで望み、相手とインタラクティブにプロセスを積み上げることが重要。
  • 海外の意思決定者は、相手のコミュニケーションスタイルやビジネスマナーを大切にするしタイムイズマネーであるし、相手の気分が変わらないうちに相手を気持ち良くする肯定が重要になる。
  • 企業が海外販路開拓の場合はできるだけ小さいチームを組成してチームが自由に使える予算をつけること。そうでないと、日本の慣習に沿った時間軸では海外とのインタラクティブなコミュニケーションは難しい。
  • 海外では食事を一緒にする時間や朝ごはんで話す時間が大切。その中でも、「〇〇について君はどう考えている?」という質問には意思を持って自分の意見を伝えることが重要。

なぜ海外ビジネスでスモールチームが重要なのか

海外市場の意思決定スピードに対応する必要性

海外ビジネス環境では、意思決定のスピードが日本よりも格段に早いことが特徴です。特に欧米やアジア諸国では、トップダウン式の意思決定が一般的で、経営層が迅速に判断を下し、それが組織全体に浸透する構造が整っています。これに対し、日本の伝統的なボトムアップ式の合意形成プロセスでは、海外の競合他社や取引先に遅れをとる可能性が高くなります。

文化的コミュニケーション

海外では直接的で明確なコミュニケーションが求められます。日本の「察する文化」や「空気を読む」コミュニケーションスタイルとは正反対に、海外では「言わないと分からない」を前提としたやり取りが基本となります。5名前後の小規模チームであれば、このような文化的ギャップに迅速に対応し、現地のコミュニケーションスタイルに合わせた対応が可能になります。

A diverse small team collaborates on digital devices in an interactive business meeting 

スモールチーム戦略の具体的な優位性

決定権の集約によるスピード向上

決定権を持つ5名前後のチーム構成により、海外での商談や提案において、その場での意思決定が可能になります。大企業や大規模中小企業でよく見られる複層的な稟議システムでは、海外の取引先が求めるスピード感に応えることができません。現地で「検討させていただきます」と答えることが続けば、相手の信頼を失うリスクも高くなります。

海外事業展開におけるチーム規模別成功率

相互理解の重要性

海外の取引先は、相手のコミュニケーションスタイルやビジネスマナーを重視する傾向があります。スモールチームであれば、相手企業の担当者と直接的で密接な関係を築きやすく、プロジェクトの進行過程において双方向のコミュニケーションを維持できます。これは、特にアジア系企業との取引において「関係性重視」のビジネス文化に適応するためにも重要な要素です。

予算執行の柔軟性

私たちのような起業家でスモールチームで活動する以外の選択肢として、企業が海外販路開拓を行う際は、小さいチームに自由に使える予算を付与することが成功の条件となります。日本の慣習に沿った厳格な予算管理では、海外とのインタラクティブなコミュニケーションに必要な迅速な対応ができません。現地での急な商談機会や、関係構築のための接待費用など、柔軟な予算運用が求められる場面が多々あります。

地域別コミュニケーション戦略

アジア圏でのビジネス展開

中国(深圳・杭州)での展開経験から、アジア圏では「移民都市」的な開放的文化が特徴的です。深圳では「来了就是深圳人」(来たら深圳人)という受容的な文化があり、外部からの企業や人材を積極的に受け入れる土壌があります。私たちはまず、地元のシェアオフィスに足を運びます。このような環境では、小規模チームでも現地との融合が比較的容易で、迅速な市場参入が可能です。

シンガポールでは、多民族社会における効率重視の文化があります。時間厳守と論理的な議論を基調とするビジネス環境では、準備の整った小規模チームが高い評価を得やすい傾向にあります。また、シンガポールではビジネスライクな関係が好まれるため、日本的な長期的関係構築よりも、具体的な成果を短期間で示すことが重要になります。投資案件に向いている印象です。

インドネシア・フィリピンでは、英語でのコミュニケーション能力と現地文化への理解が重要です。特にフィリピンでは英語が第二言語として位置づけられているものの、現地語(タガログ語、セブ語など)での関係構築がより深い信頼関係につながります。小規模チームであれば、現地語学習やローカルパートナーとの密接な関係構築に集中できます。

ヨーロッパ圏でのビジネス展開

オランダでのビジネス展開では、フラットな組織文化と直接的なコミュニケーションが特徴です。オランダでは上下関係の意識が薄く、実力主義の環境が整っているため、小規模で専門性の高いチームが高く評価されます。また、ワークライフバランスを重視する文化があるため、効率的な働き方を提案できるチーム構成が求められます。日本の大手企業の名前を出しても、それよりももっと重要なのが、仕事に対する姿勢です。

食事とカジュアルな時間の活用

海外での関係構築の重要性

食事を一緒にする時間や朝食での会話は、海外ビジネスにおける信頼関係構築の基礎となります。アジア諸国では特に、ビジネス以外の時間を共有することで、より深い人間関係を築くことができます。スモールチームであれば、このような関係構築の機会により多くの時間と予算を割り当てることが可能です。

意思表明の重要性

海外では「〇〇について君はどう考えている?」という質問に対して、明確な意思を持って自分の意見を伝えることが重要です。曖昧な回答や遠慮深い態度は、かえって不信感を招く可能性があります。小規模チームのメンバーには、このような場面での発言力と責任感が求められ、それが組織全体の信頼性向上につながります。

スモールチーム戦略の具体的実装方法

チーム構成の提案

決定権を持つ5名前後のチームの提案です

  • 戦略決定者(代表・責任者*撤退も判断できる人物)
  • 現地市場専門家
  • 技術・製品専門家
  • 同行可能な場合は財務・法務担当者(比較的オンラインで日本からミーティングを繋いだほうがうまくいくケースが多い印象)
  • 現地コミュニケーション担当者

この構成により、現地での商談において必要な判断を即座に下すことができ、相手企業の信頼を獲得しやすくなります。

予算管理の柔軟化

従来の日本的な厳格な予算管理から脱却し、チームレベルでの機動的な予算執行を認めることが重要です。海外では、急な商談機会や関係構築のための費用が頻繁に発生するため、事前承認制では対応できません。月単位や四半期単位での大枠予算の中で、チームが自由に判断できる仕組みが必要です。

現地パートナーが大切!

現地の信頼できるパートナーとの密接な関係構築も、スモールチーム戦略の重要な要素です。大規模な組織では複雑になりがちなパートナーシップも、小規模チームであればより人間的で直接的な関係を築くことができます。これにより、現地の法律や商慣習に関する情報収集や、市場動向の把握が迅速に行えます。

私たちの場合は、Airbnbで日本国内で民泊を提供する方に協力をいただき、海外の関係者を日本に招待することが多いです。ローカルな案内を信頼できるAirbnb提供者に任せたりします。

成功事例から見る効果的なアプローチ

中小企業の海外展開成功例

私たちには関係なく、日本の中小企業の成功事例を見ると、少数精鋭での海外展開が効果を上げているケースが多数あります。例えば、ユニカル社では台湾進出において、キーマンとなる外国人人材(中国人常務取締役)を核とした小規模チームで現地企業との直接取引を開始し、4年で業界トップシェアを獲得しました。

グローバル企業の戦略転換

大手企業においても、海外展開においては機動性を重視した小規模チームの活用が増えています。資生堂のような大企業でさえ、海外市場では地域別の小規模な責任体制を構築し、現地のスピード感に対応した組織運営を行っています。

スモールチーム戦略の戦略的価値

海外挑戦においてスモールチームが最適である理由は、単純な効率性だけではなく、海外市場特有の要求に対応するための戦略的必然性にあります。意思決定のスピード、文化的適応力、関係構築能力、そして予算執行の柔軟性—これらすべてにおいて、5名前後の決定権を持つチームが最も効果的に機能します。

当社の中国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、オランダでの経験からも明らかなように、現地のビジネス文化に適応し、相手企業との信頼関係を迅速に構築するためには、大規模な組織よりも機動性に優れた小規模チームの方が圧倒的に有利です。

日本企業が真にグローバルな競争力を獲得するためには、従来の大規模組織による段階的な合意形成から脱却し、決定権と責任を持った少数精鋭のチームによる迅速で柔軟なアプローチへの転換が不可欠です。これこそが、変化の激しい国際市場において持続的な成功を収めるための重要な戦略であると確信しています。

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